妊娠カレンダー その3

「悦子は妊婦のような歩き方をする。誇張したけだるさの感じられる歩き方をする。」

愛の渇き (新潮文庫)

愛の渇き (新潮文庫)

以前読んだときはピンとこなかったのですが、自分で妊婦になってみて、なるほど、けだるくしか歩けません。朝、いつもと同じ時間に家を出たのに電車に間に合わないということが続いたので、少し早めに出るようにしています。とにかく歩行速度がおそい。からだのバランスもなんとなくとりづらいので、ゆらゆらしながら、フーフー言いながら歩いています。
それにしても、三島は「彼女の妊婦のような歩き方はこの頃から人目に立った。見る人は、よほど自堕落な過去をもった女だと決めてかかった。」とも書いてますが、妊婦じゃないのにこんな歩き方してたら「自堕落」なんでしょうか。

さて懲りずに妊娠記録の続きです。前回はいちばん辛かった7〜8月の記録だったため、我ながらひどいなあと思える内容でしたが、秋の訪れとお腹のふくらみにともない、かなり落ち着いてきました。

8月末(17〜18週目) いまは梨だけがおいしい、と言っていたら、主人や父が梨をたくさん買ってくれ、ほんとうに梨が主食になる。  8月に入ってから横ばいだった体重が少しづつ増加しはじめる。
「痩せたせいか、顔が変わったような気がするんだけど。わたし、男っぽくなってない?」というと、主人に「顔は変わってないけど、言葉遣いが汚いよね、最近」と言われる。そうだったのかー。
パジャマのウエストがきつくなり、姉からもらったカーキ色のゆるゆるズボンをはき始める。とってもザクみたい。

おともだちから励ましの小包が届く。やさしいお手紙に涙する。

それまで妊娠線はまったく気にしないでいたが、全身につかえるマッサージクリームも頂いたので、おなかに塗ってみる。
夜中にはげしく足をつる。これが噂の妊婦のこむら返りかー、と納得しつつ、もんでもまげてもどうにもならない痛みに輾転反側。


(のびるアサガオ)
5回目の病院。エコーで様子をみるも、今回は眠っているのか赤ちゃんピクリともせず。心臓は元気に動いていて安心する。お医者さんがヘソの緒をうつして見せてくれる。チューブのなかを勢いよく運ばれていく血液。なんだか工場みたいでした。


(干しっぱなしにされていた主人の水中メガネが捕獲されました)

9月初め(19〜20週目=6ヶ月目に突入) つわりはだいぶおさまり、食べられるものがふえる。匂いは相変わらずいろいろ気持ち悪いので、依然としてマスク+口呼吸の日々。
胎動を感じはじめる。
楽になったとはいえ、まだ気持ち悪い日々。暑い日はとくに辛い。「早くみかんが出回る時期にならないかなあ」という冬を待ち望む発言を早合点した母が、ハウスみかんを買ってきてくれる。とってもおいしい。


そんなわけで、お腹の子どもは順調で、わたし自身もだいぶ元気に生活しています。秋の実りを味わえる季節につわりの収束が間に合ってよかったです。栗、イモ、さんま、柿、銀杏、だいすきです。