サモサ/その名にちなんで
「何にせよ、ずいぶん遠くまで来たものだ。いま32歳で、すでに結婚して離婚した。彼女との時間は、すっぱり切り捨てることができないのに、いまでは意味を見出だせない。使わなくなった名前のようなものだろう。」
- 作者: ジュンパラヒリ,小川高義
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/10/30
- メディア: 文庫
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父を列車事故から救った本『外套』にちなんで「ゴーゴリ」と名付けられたベンガル系アメリカ人男性のものがたり。
自分の名前へのコンプレックス、ベンガルの伝統に固執する両親への反抗、いくつかの恋愛、仕事、引っ越し、結婚、離婚、近親者の死・・
テーマはふつうなのにめちゃくちゃおもしろかったです。
や、ほんと、めちゃくちゃおもしろいです、この小説。
すすめてくれたクールな先輩と、こころよく貸してくれた素敵同期ちゃんに大感謝。
ものがたりの中で主人公の母親が、やはりインド料理ばかりつくているのですが(こどもたちはハンバーガーとかを食べたがる)、豆カレーとか、タンドリーチキンとか、どれもおいしそう。
今回はインドの伝統的スナック料理(?)、サモサを皮からつくってみましたよ。
このサイトを参考にしました
http://blog.chefhariom.com/?eid=397531
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■■サモサ
◎材料
・じゃがいも
・玉ねぎ(粗みじん切り)
・カレー粉(固形の場合は、包丁でこまかく刻んでおく)
(もちろん、市販のカレー粉ではなく、ターメリック・クミン・コリアンダー・カルダモン等をお好きに配合してもいいとおもいます)
・グリーンピース(皮から出して、茹でておく)
・餃子の皮(私は粉からつくってみましたが、大変なことになったので、市販の皮をつかったほうがいいでしょう)
1,玉ねぎを塩コショウで炒める
2,じゃがいもをラップでつつみレンジでチン
3,じゃがいもの皮をむき、小さく切る
4,炒めた玉ねぎとじゃがいもをまぜ合わせ、カレー粉で味をつけつつ軽くつぶし、グリーンピースもまぜる
5,皮で4の具をつつみ、揚げる
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*余談*
以下、本の感想です。
ものがたりの終盤、主人公ゴーゴリは、結局自分が実家からせいぜい列車で4時間程度の距離の街にしか住んだことがないことに気付きます。ここで、読んでるわたしも「え、あーそう」とおどろきました。
それほど、青年期のゴーゴリの気持ちは両親から離れていたわけですが、物理的にであれ、精神的にであれ、生まれ育った環境から「遠くへ行く」というのが、ひとつのテーマとしてこの小説に流れているのを感じました。
嫁いでインドを出てアメリカへ行く孫娘にたいするおばあちゃんのことば「あたしなんかにゃ、できないことをするんだ。これでいいんだよ。そうだとも。じゃ、お行き」や、幼いゴーゴリと家族が海に遊びにきて、防波堤の先の砂地まで父子ふたりで歩いていったときのお父さんのことば「覚えておけよ。おれたち二人で遠くへ行ったんだ。もう行きようがなくなるまで行ったんだからな」。
こういうなにげないことばに、わけもなく泣きたくなってしまうのは、姪っ子たちが生まれてやっとわたしも、「子孫が生まれて育っていく」という当たり前のことの、途方もなさを実感したせいかもしません。みんな大人になっちゃうんだ、それはとってもめでたくて、うれしくて、かなしい。
4人中2ばん目の姪っ子ちゃん