「逃げ恥」と『仕事と家族』

ドラマ「逃げ恥」が面白いので原作も読んでみました。 

派遣切りにあった主人公みくりが、「プロの独身」会社員・津崎平匡の家事代行として働きはじめ、利害一致した両者は契約結婚し、みくりは住み込みで家事をやる代わりに給与をもらうことに。そしてひとつ屋根の下で暮らしはじめたふたりがだんだんひかれあっていく、という話です。

恋愛ものでありながら、主軸はみくりの仕事探しの物語であり、家事を有償労働として捉えるとどうなるか、ということを主題として扱った興味深い作品です。また、デフレ、晩婚化、少子化など現代社会の問題をさりげなく取り上げていて、ゲイ・生涯独身女性・バツイチシングルマザーなども登場し、いろんな生き方や人生の選択肢が肯定されているところがわたしは好きです。
 
以下ネタバレ含みます。
 
ついに平匡と両想いになり、いざ本当に結婚しようとなったみくりは、いままで対価をもらって
やっていた家事がこれから無償になるのかと危惧します。ここは賛否が分かれるところだと思うのですが、わたしは「ですよねー!誰もタダ働きしたくないよね!」と心から共感。「甘えるな、多くの主婦は報酬なしで家事をこなしているんだ」という意見がでてきそうですが、その状況に心から納得している人ってどれくらいいるのでしょうか。

f:id:punch-zaru:20161117134336p:plain

逆に言うと、(特に乳幼児をかかえた)多くの主婦が「ブラック企業」に勤めているような状況におかれているのでは。睡眠時間は削られ、365日休みなし、それどころか適切な休憩時間は無く、場合によってはトイレさえ自分の行きたいときに行けない。

f:id:punch-zaru:20161117135431p:plain

わたしは家事は嫌いではないけれど、時間と体力には限界があるし、疲れている時に料理している横で主人がごろごろしていたりすると、正直言って、不公平だと感じてイライラします。
家事運営がうまくいっている家庭ってあるのだろうか。
やはり家事というシャドウ・ワークが無償であることに諸々の問題が起因しているような気がします。ですので、まだ完結していないこの漫画、最後に二人がどういう結論を出すのか、とても楽しみです。
同時進行でドラマもとても面白いです。保育園のママ友にも観ている人が多いので、みんなで感想を言い合っていたのですが、案の定、最終的には話題が「夫が家事しない問題」になり、愚痴大会となりました。
以下、複数人の共感を得た点
・洗濯物を干すのを任せているが、それじゃ乾かないよ…っていう干し方をする
・というか洗濯機から洗濯物を出しておかないと干してくれない
(洗濯なんて毎日のことなのに、しない日があると思うのだろうか?)
・風呂掃除はバスタブの中だけを洗うことだと思っている
・休みの日の午前中は起きてこない
・「俺は家事育児をやっている方だ」と主張してくるが、誰と比べてそう言い張っているのか?「当社比」みたいなの止めて欲しい。その比較対象は自分の父親なのでは?世代の違いを考慮せよ!というか国内で比べるな、世界基準でものを言え!スウェーデンとかと比べろ!
(ちょっとさいごはヒートアップしてしまいました)
 
どうすれば不満を溜めずに家事をこなせるのでしょうか。というわけで、以前、友人(TerasawaT)にすすめられたこちらを読んでみました。 

 現代の日本の「仕事と家族」、働き方や家族のあり方や家事について、統計をもちいて議論を整理し、長期推移と国際比較という縦横に広い視点からみることで問題点を明らかにした新書です。真の意味での「共働き社会」の実現が少子化の根本的な解決策として有効であるというのが著者の結論であり、その前提となる現状の分析や当面の問題点がわかりやすく書いてありました。

とくにわたしが関心の強かった家事については、「国際比較の観点から見ると、日本の男性は労働時間の割には家事をしていない」と図示したうえで、従来の議論にはテクニカルな分析、つまり「効率性」の視点が欠如していたと指摘、問題の解決には、家事に関する「スキルの欠如、希望水準のすり合わせ、およびそれにともなう負担といった、より「ビジネス」的な課題をクリアしていくことが必要なのだ」と論じています。

無償労働はついお互いのボランティア精神に期待してしまいがちですが、ビジネス的に解決するのが一番ですよね。見返りがあればスッキリ。
やはり「逃げ恥」で契約結婚を開始したときのみくりと平匡は、理想的な関係だったのではないでしょうか。

f:id:punch-zaru:20161117135149p:plain

ここに、愛情が入ってくるからややこしくなってしまうのでは。
 

f:id:punch-zaru:20161117135520p:plain

三島由紀夫の『愛の渇き』にも「愛しさえしなければ、人と人とがつながり合うことなんか楽にできる」という一説がありました。好きだから話がこじれる。
しかし愛情にもたれかかるような関係では、家事運営はどちらか一方に不満がたまることになってしまうのではないでしょうか。わたしもこれからはビジネス的な解決をこころがけ、ガツガツ見返りを求めることにします。
 
さて「逃げ恥」でみくりが風見さんにつくった牛肉と大根のカレーをつくってみました。

f:id:punch-zaru:20161108182601j:plain

生姜入れすぎの牛と大根のスープ煮 からの、根菜カレー

f:id:punch-zaru:20161108185821j:plain

 

f:id:punch-zaru:20161108190358j:plain

 根菜が多いとボリュームがあって食べごたえがありますね。
カレーは3巻にでてきます。 

 「逃げ恥」は風見さんと百合ちゃんの関係もすごく良かったです。

f:id:punch-zaru:20161117140624p:plain

役割や立場や年齢で相手をみない、とか、気になった発言は真意を相手に直接聞くとか、
人と人がまっすぐにつながろうとしている様子が読んでいて心地よい漫画でした。
 
ハートフル坊主のクックパッドも気になります。