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てりやきハンバーグ/ららら科学の子

「こうして彼は、新幹線“こだま”で日本に帰った。」という書き出しがファンタジック。

ららら科學の子 (文春文庫)

ららら科學の子 (文春文庫)

1968年、全共闘運動の渦中で殺人未遂をおこし、折りよく「文化大革命をその眼でみないか」と提案してきた中国人に誘われるまま中国へ渡り、農村に下放され、30年間中国の農村で過ごした主人公が、30年ぶりに帰ってきた東京で自分探し(?)をするものがたり。

渋谷の街の描写がすばらしいと誰かが言っていたので読んでみたのですが、たしかに、このものがたりの渋谷は、わたしの頭の中の渋谷とかっちり、かみあいました。主人公が30年前を思い出しつつ眼前の風景とかさね合わせて描き出される街は、とてもノスタルジック。
たとえば、地下鉄銀座線で渋谷に到着するとき。「プラネタリウムの天蓋が銀色に光っているビルに巨大な映画の絵看板。街の上空を横切り、ひんやりと薄暗いビルに吸い込まれて止まる地下鉄。」
ものがたりのなかの現在は1998年なので、わたしがまだ渋谷に住んでいて、思春期只中だったころの風景。東急文化会館があって、井の頭線の駅は工事中、田園都市線は「新玉川線」。
文化会館は、今はもう無い。

文化会館の屋上で主人公が思い出す映画のラストシーン。うつくしい。

また会いましょう。いつか晴れた日に、もう一度。

表参道や六本木で、オシャレな食べ物にとまどうばかりの主人公が唯一頬をゆるませたごはんは、弁当にはいっていた「てりやきハンバーグ」でした。むかし妹がつくってくれた味・・て、当時8歳のはずなのに、すごいな、妹。
ものがたりの中ではふつうのハンバーグでしたが、今回、黒豆茶の豆があったので豆入りハンバーグにしました。

■■てりやきハンバーグ(豆入り)
◎材料
・たまねぎ(みじん切り)
・ひき肉
・豆
・つなぎ(パン粉、卵)
・みりん、しょうゆ、砂糖

1,豆は、黒豆茶の出がらしと、節分豆を水につけておいたものを使いました。

しばらく水につけておいて、水をきって、ビニールに入れて叩いてつぶしましたよ。
フードプロセッサーとかでもっと細かくしても良いと思います。

2,みじん切りたまねぎを炒めて、塩コショウ

3,玉ねぎの粗熱がとれたら、材料をぜんぶ混ぜます

4,焼いていきます

小さいのはお弁当用です
いいかんじです。お鍋のポタージュスープもいいかんじです

5,焼けたらいったんフライパンから出し、同じフライパンで照り焼きのたれをつくります。少しの水と砂糖、みりん、醤油を煮立たせます。
6,少し煮詰まったところで出しておいたハンバーグをもどし、たれをスプーンでかけながら照り焼きにしていきます

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*豆腐を入れてももちろん良いと思います、が、豆腐って、冷凍すると、高野豆腐みたいになる(?)ので、お弁当にいれたときの豆腐ハンバーグって、ぶにゃって、なるじゃないですか。豆のままだとそうならないので。
黒豆茶の黒豆は、トマトスープに入れても美味しかったです。捨てちゃだめです。

*以下、「ららら科学の子」の気に入った箇所。時間の経過を感じる主人公の姿にむねをうたれます。むかし思いえがいた未来は、いまよりずっと未来だった、ってことでしょうか。
「三十年経てば何だって古くなる。風呂場の鏡に映った自分を、ふいに思い出した。それまで彼は疑いもなく、未来が今よりずっと綺麗になり続けるものだと信じてきた。」
「日本に戻ってから数日、失われたもの、失われたことに、たとえ何だろうと感傷はなかった。恐れもなかった。もしあったなら、それとともに過ごして来なかった自分への失望だ。生きていれば何かは必ず失われる。失われず、新しいものに追いやられながら、そこここで生き腐れしているものの方が、見るたび辛かった。」